兵庫県断酒連合会
NPO法人兵庫県断酒会
理事長 柏野 好央
「酒を断つ」ことは、私にとって至難の業でした。酒のために、苦しみながらも断つことができず、飲み続けるしかない日々が、毎日続きました。今日だけは、飲まずにいようと思いつつも、一杯の酒の誘惑に勝てず、酒を口にし、一杯飲めば、あとは酒が酒を呼び、酒に溺れ続ける毎日でした。
そう、たった一日たりとも、やめることができなかったのです。毎日、酒の毒が体中に充満しているようななかで、仕事にはかろうじてつながっておりましたが、いつ自分が崩れてしまうかわからない。そんな不安に駆られながらも、苦し紛れにその不安から逃れようと、暫しの酔いを求めて酒をあおる日々が続いていました。
そして、休日が続いた休み明け、またしても酔いつぶれて出勤できず、目が覚めたらとうに始業時間が過ぎていました。「こんなことしとったら、アカン」と、居てもたってもおれないような不安に駆られ、保健所の相談窓口に行きました。保健所の方は、「お酒の事でしたら、専門の先生に診てもらいなさい」といわれ、尼崎で診療されている中田陽造先生を紹介してくださいました。
まだ、なかば酔っ払っているような状態で先生の前に座った私に下された診断は、「アルコール依存症」でした。「酒は断つしかない。一杯でも飲めば、止まらなくなります。」先生からそういわれても、やめる自信はありません。先生は「一日断酒」ということを説明してくれました。「今日一日だけでよいのですよ。今日だけ飲まずに頑張れば、それで百点満点です。明日のことは、また明日考えればよいのです。人間、手の届くところに目標を置けば、やる気が起きるものですよ。」と言われましたが、それでも自信は湧いてきません。それから、先生は断酒会にいくように指示されました。この先生は、ともかく自分を病人として扱ってくれている、と感じ、その夜、断酒会の例会に会長さんに連れて行ってもらいました。
初めての例会出席のことは、頭もぼけたような状態でよく思い出せませんが、その日から、あれほどやめられなかった酒が止まりました。翌日の西宮の例会に出席し、そこではじめて、自分にも「一日断酒」ができたことに気づき、救われたような思いがしました。まさに「例会出席」あっての「一日断酒」でした。
それから、毎日の例会出席を続けることで、「一日断酒」の日々を重ねることができ、酒を飲まない生活に入ることができました。
断酒会の例会には、不思議な力があります。お酒に悩む方々には、ぜひとも兵庫県下、各所で行われている断酒例会をのぞいてみてください。皆様方と例会場でお会いできることを楽しみにしています。